赤ちゃんが突然亡くなる
「SIDS」
発症リスクをおさえる
ためにできることとは
それまで大きな病気もなく、すくすくと元気に育っていた赤ちゃんが睡眠中に突然亡くなってしまう病気「乳幼児突然死症候群(SIDS)」を知っていますか。SIDSの原因はわかっておらず、特段の予兆もありません。しかしこれまでの研究で、発症率を下げるポイントがわかってきています。いくつかの点に気をつければ、発症リスクをおさえることができるかもしれません。
SIDSとは
SIDS(Sudden Infant Death Syndrome)は、それまで大きな異常のきざしがないのに、乳幼児が睡眠中に亡くなってしまう原因不明の病気で、窒息などの事故とは異なるものです。
日本では令和5年までの過去5年間に、349人の乳児がSIDSで死亡しています。
SIDSをめぐっては、これまでにさまざまな研究が重ねられてきました。
例えば、以下のことがわかっています。
・1歳未満(特に、生後2カ月から6カ月)の乳児に多いこと
・冬から春にかけて起こりやすいこと
直接的な原因は現在判明しておらず、完全に防ぐ方法はまだ確立していません。
一方で、研究によって発症率を下げるために必要なことはいくつかわかってきました。日本ではそのうち、3つのポイントを推奨しています。
発症率を下げるための
3つのポイント
○1歳になるまでは「あおむけ」に寝かせましょう
SIDSは睡眠中に起こります。これまであおむけ寝、うつぶせ寝のどちらの体勢でも起きていますが、あおむけに寝かせたほうが発症率が低いことが、研究でわかっています。
○無理のない範囲で母乳育児を
母乳で育てられている赤ちゃんのほうが、SIDSの発症率が低いことがわかっています。ですが、さまざまな事情があり、すべての人が母乳育児ができるわけではありません。授乳に関して少しでも不安を感じる場合は、授乳支援を実施している病院(産科や小児科等)や保健センターなどに相談してみましょう。
○たばこはやめましょう
赤ちゃんの周りの人が喫煙することは、さまざまなリスクを赤ちゃんにもたらします。SIDSについても、発症要因のひとつであるといわれています。
妊婦が喫煙すること、周りの人が吸ったたばこの副流煙を妊婦や生まれた後の乳幼児が吸う「受動喫煙」も、SIDSの発症要因になります。
こどものお母さん、お父さんだけでなく、ほかの家族やお世話をする人など、こどもに関わるすべての大人は喫煙をやめましょう。
SIDS以外にも、妊娠中の喫煙には①早産や低出生体重②赤ちゃんの発育・発達の遅れ③胎盤早期剝離など出産時のトラブルを引き起こすリスクがあります。
睡眠中の窒息を防ぐために
5つのポイント
赤ちゃんの周りの環境を整えることで、SIDSだけでなく「睡眠中の窒息」を防ぐことができます。
一日の多くを眠って過ごす赤ちゃんにとって、睡眠時の環境はとても大切です。
ここでは、窒息のリスクを下げる5つのポイントをご紹介します。
○ 寝具は硬めで平坦なものを
柔らかいクッションは、うつ伏せになったときに顔が埋もれてしまい危険です。
また、傾斜のある寝床は、首が曲がって気道(空気の通り道)が狭くなりやすく、窒息のリスクが高まります。
赤ちゃんの寝床には、身体が沈み込まない硬めで平坦な布団やマットレスを使いましょう。
○ 温度の調節は着るものなどで
掛け布団や毛布などは、赤ちゃんの顔にかかると窒息のリスクがあります。
1歳までは掛け布団などは使わずに、スリーパーなどの着るものや空調で寒さを調整すると安心です。
大人が快適に感じる服装に「プラス1枚」を目安にしましょう。
○ 寝床には何も置かずにすっきりと
赤ちゃんは寝ている間にもよく動きます。
枕やタオル、ぬいぐるみ、よだれ掛け、コード類などは、顔を覆ったり首に巻きついたりする危険があります。
赤ちゃんの寝床には何も置かず、シンプルに整えましょう。
○ 赤ちゃん専用の寝床が安心につながります
添い寝は、大人の身体が赤ちゃんに覆い被さったり、口や鼻を塞いでしまったりする危険があるため注意しましょう。
特に、以下の場合の添い寝は危険です。
・添い寝している人が、眠気を引き起こしたり、注意力を低下させる薬を服用したりしている場合
・添い寝している人が飲酒をした場合
・赤ちゃんが早産や低出生体重で生まれた場合
できるだけ赤ちゃん専用のベビーベッドや敷布団を用意すると安心です。
○ 睡眠環境製品は正しく使いましょう
ベビーベッドなどの製品を選ぶときは、国の安全基準に合格した「PSCマーク」がついているかを確認しましょう。
使う前には必ず説明書を読み、対象年齢や使い方を守ることも大切です。
例えば…
・大人のベッドに取り付ける「ベッドガード(ベッド柵)」は18か月以上が対象です。18か月未満の赤ちゃんは、マットレスと柵のすき間に挟まれて窒息する危険があります。
・赤ちゃんがベビーベッドにいるときは、必ず柵を上げましょう。寝返りをしない月齢でも転落事故は起きています。
情報は定期的にチェックしよう
子育ては思わぬアクシデントやトラブルの連続です。ヒヤっとしたり、ハッとしたりした経験は、誰しもが持っています。一方で、正しい知識と対策で事故を防ぐことはできます。
こどもの事故を防ぐための対策は年々アップデートされています。特にSIDSについてはいまも研究が行われており、こども家庭庁など公的機関が定期的に情報を発信しています。こども家庭庁やCDRのサイトで情報をチェックし、こどもを守るための正確な知識を身につけていきましょう。
知っておきたい、
命の守り⽅の具体策
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一般のみなさまへこどもが安全・安心に暮らせる環境をつくるために、普段の生活の中で取り組める予防策を動画や記事でご紹介します。 -
自治体の方へ各自治体で行われているCDRモデル事業の取り組みについてご紹介します。 -
医療機関の方へCDRの実施にあたり、医療関係者のみなさまにお願いしたいことや対応方法についてご紹介します。
防ぐための予防策